ひらきぶみ
与謝野晶子

−−
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)光《ひかる》おばあ様

|:ルビの付いていない漢字とルビの付く漢字の境の記号
(例)筆|親《したし》み難かりし

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#下げて、地より1字あきで]

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)たび/\帰りて
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
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[#下げて、地より3字あきで]みだれ髪
 君
 事なく着きし電報はすぐ打たせ候ひしかど、この文は二日おくれ候。光《ひかる》おばあ様を見覚えをり候はずなく、あたり皆顔知らぬ人々のみなれば、私の膝《ひざ》はなれず、ともすればおとうさんおとうさんと申して帰りたがりむづかり候に、わが里ながら父なくなりて弟留守にては気をおかれ、筆|親《したし》み難かりしをおゆるし下されたく候。
 こちら母思ひしよりはやつれ居給《いたま》はず、君がかく帰し給ひしみなさけを大喜び致し、皆の者に誇りをり候。おせいさんは少しならず思ひくづをれ候すがたしるく、わかき人をおきて出《い》でし旅順《りよじ
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