「女らしさ」とは何か
与謝野晶子

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)動《やや》もすれば

|:ルビの付いていない漢字とルビの付く漢字の境の記号
(例)性的|玩弄物《がんろうぶつ》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)かいつまん[#「かいつまん」に傍点]で述べますと
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 日本人は早く仏教に由って「無常迅速の世の中」と教えられ、儒教に由って「日に新たにしてまた日に新たなり」ということを学びながら、それを小乗的悲観の意味にばかり解釈して来たために、「万法流転」が人生の「常住の相」であるという大乗的楽観に立つことが出来ず、現代に入って、舶載の学問芸術のお蔭で「流動進化」の思想と触れるに到っても、動《やや》もすれば、新しい現代の生活を呪詛《じゅそ》して、黴《かび》の生えた因習思想を維持しようとする人たちを見受けます。たとえていうなら、その人たちは後ろばかりを見ている人たちで、現実を正視することに怠惰《たいだ》であると共に、未来を透察することにも臆病であるのです。そういう人たちは保守主義者の中にもあれば、似非《えせ》進歩主義者の中にもあ
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