諸罪の魂を選び取つてこの間に録送し」に傍点]、膏血を搾取して地上山陵原隰墳衍の神に転付し[#「膏血を搾取して地上山陵原隰墳衍の神に転付し」に傍点]、この膏血をして罌粟の花根内に灌ぎ入らしめ[#「この膏血をして罌粟の花根内に灌ぎ入らしめ」に傍点]、根よりして上は花苞に達せしむれば[#「根よりして上は花苞に達せしむれば」に傍点]、則ちその汁も自然に濃郁にして[#「則ちその汁も自然に濃郁にして」に傍点]、一たび熬錬を経れば[#「一たび熬錬を経れば」に傍点]、光色黝然たらん[#「光色黝然たらん」に傍点]。子試みに之を識れ[#「子試みに之を識れ」に傍点]。数十年の後[#「数十年の後」に傍点]、この煙天下に遍からん[#「この煙天下に遍からん」に傍点]。」
 賈は更に尋ねようとした。「忽ち又人有り。数十の男婦を駆りて至る。鞭策《べんさく》甚だ苦。声を斉《ひとし》うして呼号す。」賈は悸《おどろ》いて目を醒ました。それからこの夢を人に語つた。けれども誰一人信ずるものはない。そのうちに道光の中葉頃に至り、鴉片煙は果して流行し出した。尤も賈はそれよりも前に故人の数にはひつてゐる。しかし賈の夢の話は未だに人の
前へ 次へ
全8ページ中6ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
芥川 竜之介 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング