藪の中
芥川龍之介
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)検非違使《けびいし》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)昨年の秋|鳥部寺《とりべでら》の
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#地から1字上げ](大正十年十二月)
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検非違使《けびいし》に問われたる木樵《きこ》りの物語
さようでございます。あの死骸《しがい》を見つけたのは、わたしに違いございません。わたしは今朝《けさ》いつもの通り、裏山の杉を伐《き》りに参りました。すると山陰《やまかげ》の藪《やぶ》の中に、あの死骸があったのでございます。あった処でございますか? それは山科《やましな》の駅路からは、四五町ほど隔たって居りましょう。竹の中に痩《や》せ杉の交《まじ》った、人気《ひとけ》のない所でございます。
死骸は縹《はなだ》の水干《すいかん》に、都風《みやこふう》のさび烏帽子をかぶったまま、仰向《あおむ》けに倒れて居りました。何しろ一刀《ひとかたな》とは申すものの、胸もとの突き傷でございますから、死骸のまわりの竹の落葉は、蘇芳《すほう》に
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