老いたる素戔嗚尊
芥川龍之介
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)高志《こし》の
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)始終|微笑《ほほゑ》んだ
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)大日※[#「靈」の「巫」に代えて「女」、第3水準1−47−53]貴
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一
高志《こし》の大蛇《をろち》を退治した素戔嗚《すさのを》は、櫛名田姫《くしなだひめ》を娶《めと》ると同時に、足名椎《あしなつち》が治めてゐた部落の長《をさ》となる事になつた。
足名椎は彼等夫婦の為に、出雲《いづも》の須賀へ八広殿《やひろどの》を建てた。宮は千木《ちぎ》が天雲《あまぐも》に隠れる程大きな建築であつた。
彼は新しい妻と共に、静な朝夕を送り始めた。風の声も浪の水沫《しぶき》も、或は夜空の星の光も今は再《ふたたび》彼を誘つて、広漠とした太古の天地に、さまよはせる事は出来なくなつた。既に父とならうとしてゐた彼は、この宮の太い棟木《むなぎ》の下に、――赤と白と
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