相当じゃよ。」
すると、沙金《しゃきん》が、衣《きぬ》ずれの音をさせて、たしなめるように、こう言った。
「猫じゃないよ。ちょっとたれか行って、見て来ておくれ。」
声に応じて、交野《かたの》の平六が、太刀《たち》の鞘《さや》を、柱にぶっつけながら、立ち上がった。楼上に通う梯子《はしご》は、二十いくつの段をきざんで、その柱の向こうにかかっている。――一同は、理由のない不安に襲われて、しばらくはたれも口をとざしてしまった。その間をただ、凌霄花のにおいのする風が、またしてもかすかに、通りぬけると、たちまち楼上で平六の、何か、わめく声がした。そうして、ほどなく急いで梯子をおりて来る足音が、あわただしく、重苦しい暗《やみ》をかき乱した。――ただ事ではない。
「どうじゃ。阿濃《あこぎ》めが、子を産みおったわ。」
平六は、梯子《はしご》をおりると、古被衣《ふるかずき》にくるんだ、丸々としたものを、勢いよくともし火の下へ出して見せた。女の臭《にお》いのする、うすよごれた布の中には、生まれたばかりの赤ん坊が、人間というよりは、むしろ皮をむいた蛙《かえる》のように、大きな頭を重そうに動かしながら、醜い
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