。僕がお敏さんへ手紙を渡した事なんぞを、電話で君にしゃべらなかったら、あの婆も僕の計画には感づかずにいたのに違いないんだからな。」と、いかにも当惑したらしいため息さえ洩らすのです。新蔵はいよいよたまらなくなって、「今になってもまだ君の計画を知らせてくれないと云うのは、あんまり君、残酷《ざんこく》じゃないか。そのおかげで僕は、二重の苦しみをしなけりゃならないんだ。」と、声を震わせながら怨じ立てると、泰さんは「まあ。」と抑えるような手つきをして、「そりゃ重々もっともだよ。もっともだと云う事は僕もよく承知しているんだが、あの婆を相手にしている以上、これも已《や》むを得ない事だと思ってくれ給え。現に今も云った通り、僕はお敏さんへ手紙を渡した事も、君に打明けずに黙っていたら、もっと万事好都合に、運んだかも知れないと思っているんだ。何しろ君の一言一動は、皆、お島婆さんにゃ見透しらしいからね。いや、事によると、この間の電話の一件以来、僕も随分あの婆に睨《にら》まれていないもんでもない。が、今までの所じゃ、とにかく僕には君ほどの不思議な事件も起らないんだから、実際僕の計画が失敗したのかどうか、それがは
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