―が、それより肝腎《かんじん》の本筋だがね、いよいよお敏さんが承知したとなりゃ、まあ、万々計画通り成功するだろうと思うから、安心して吉報を待ってい給え。」と、またさっきの話を続け出しましたが、新蔵はやはり泰さんの計画と云うのが気になるので、もう一遍昨日のように、「一体何をどうする心算《つもり》なんだ。」と尋ねますと、相手は例のごとく澄ましたもので、「もう一日辛抱し給え。明日の今時分までにゃ、きっと君にも知らせられるだろうと思うから。――まあ、そんなに急がないで、大船に乗った気で待っているさ。果報は寝て待てって云うじゃないか。」と、冗談《じょうだん》まじりに答えました。するとその声がまだ終らない内に、もう一つのぼやけた声が急に耳の側へ来て、「悪あがきは思い止らっしゃれや。」と、はっきり嘲笑《あざわら》ったじゃありませんか。泰さんと新蔵とは思わず同時に両方から、「何だ、今の声は。」と尋ね合いましたが、それぎり受話器の中はひっそりして、あの呟くような鼻声さえ全く聞えなくなってしまいました。「こりゃいけない。今のは君、あの婆だぜ。悪くすると、折角の計画も――まあ、すべてが明日の事だ。じゃこれで
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