ドの一や画札《えふだ》ばかり。
74[#「74」は縦中横]
朝日の光のさしこんだ部屋。主人は丁度戸をあけて誰《たれ》かを送り出したばかりである。この部屋の隅のテエブルの上には酒の罎《びん》や酒杯《さかずき》やトランプなど。主人はテエブルの前に坐《すわ》り、巻煙草《まきたばこ》に一本火をつける。それから大きい欠伸《あくび》をする。顋髯を生やした主人の顔は紅毛人の船長と変りはない。
* * * * *
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後記。「さん・せばすちあん」は伝説的色彩を帯びた唯一の日本の天主教徒《てんしゅきょうと》である。浦川和三郎《うらかわわさぶろう》氏著「日本に於ける公教会の復活」第十八章参照。
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底本:「昭和文学全集 第1巻」小学館
1987(昭和62)年5月1日初版第1刷発行
親本:岩波書店刊「芥川龍之介全集」
1977(昭和52)年〜1978(昭和53)年
入力:j.utiyama
校正:かとうかおり
1999年1月26日公開
2004年3月17日修正
青空文庫作成ファイル:
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