翻訳小品
芥川龍之介

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)希臘《ギリシヤ》人

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)南|伊太利亜《イタリア》人

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2−13−28]
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     一 アダムとイヴと

 小さい男の子と小さい女の子とが、アダムとイヴとの画を眺めてゐた。
「どつちがアダムでどつちがイヴだらう?」
 さう一人が言つた。
「分らないな。着物着てれば分るんだけれども。」
 他の一人が言つた。(Butler)

     二 牧歌

 わたしは或南|伊太利亜《イタリア》人を知つてゐる。昔の希臘《ギリシヤ》人の血の通つた或南伊太利亜人である。彼の子供の時、彼の姉が彼にお前は牝牛《めうし》のやうな眼をしてゐると言つた。彼は絶望と悲哀とに狂ひながら、度々泉のあるところへ行つて其水に顔を写して見た。「自分の眼は、実際牝牛の眼のやうだらうか?」彼は恐る怖る
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