梅花に対する感情
このジャアナリズムの一篇を謹厳なる西川英次郎君に献ず
芥川龍之介

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)瓊姿只合在瑤台《けいしただまさにえうだいにあるべし》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号)
(例)※[#「木+厥」、第3水準1−86−15]
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 予等は芸術の士なるが故に、如実に万象を観ざる可らず。少くとも万人の眼光を借らず、予等の眼光を以て見ざる可らず。古来偉大なる芸術の士は皆この独自の眼光を有し、おのづから独自の表現を成せり。ゴッホの向日葵の写真版の今日もなほ愛翫せらるる、豈偶然の結果ならんや。(幸ひに GOGH をゴッホと呼ぶ発音の誤りを咎むること勿れ。予は ANDERSEN をアナアセンと呼ばず、アンデルゼンと呼ぶを恥ぢざるものなり。)
 こは芸術を使命とするものには白日よりも明らかなる事実なり。然れども独自の眼を以てするは必しも容易の業にあらず。(否、絶対に[#「絶対に」に傍点]独自の眼を以てするは不可能と云ふも妨げざる可し。)殊に万人の詩に入ること、屡な
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