尾形了斎覚え書
芥川龍之介

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)切支丹《きりしたん》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)候段|屹度《きつと》承知|仕《つかまつ》り候

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「勹<夕」、第3水準1−14−76]々《そうそう》
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 今般、当村内にて、切支丹《きりしたん》宗門の宗徒共、邪法を行ひ、人目《じんもく》を惑《まど》はし候儀に付き、私見聞致し候次第を、逐一《ちくいち》公儀へ申上ぐ可き旨《むね》、御沙汰相成り候段|屹度《きつと》承知|仕《つかまつ》り候。
 陳者《のぶれば》、今年三月七日、当村百姓与作後家|篠《しの》と申す者、私宅《わたくしたく》へ参り、同人娘|里《さと》(当年九歳)大病に付き、検脈致し呉れ候様、懇々頼入り候。
 右篠と申候は、百姓惣兵衛の三女に有之《これあり》、十年以前与作方へ縁付き、里を儲《まう》け候も、程なく夫に先立たれ、爾後再縁も仕らず、機織《はたお》り乃至《ないし》賃仕事
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