位置を直しながら、蚊帳《かや》ごしに明るい空を見た。そうしたらこの三年ばかり逢った事のない人の事が頭に浮んだ。どこか遠い所へ行っておそらくは幸福にくらしている人の事である。
 僕は起きて、戸をしめて電燈をつけて、眠くなるまで枕もとの本を読んだ。
[#地から1字上げ](大正六年)



底本:「芥川龍之介全集8」ちくま文庫、筑摩書房
   1989(平成元)年8月29日第1刷発行
   1998(平成10)年2月17日第3刷発行
底本の親本:「筑摩全集類聚版芥川龍之介全集」
   1971(昭和46)年3月〜11月刊行
入力:土屋隆
校正:noriko saito
2007年7月23日作成
青空文庫作成ファイル:
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