地獄變
芥川龍之介

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)大殿樣《おほとのさま》の

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)丁度|惡戯盛《いたづらさか》りの

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「勹<夕」、第3水準1−14−76]々

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)夜な/\現はれる
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
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       一

 堀川の大殿樣《おほとのさま》のやうな方は、これまでは固より、後の世には恐らく二人とはいらつしやいますまい。噂に聞きますと、あの方の御誕生になる前には、大威徳明王の御姿が御母君《おんはゝぎみ》の夢枕にお立ちになつたとか申す事でございますが、兎に角御生れつきから、並々の人間とは御違ひになつてゐたやうでございます。でございますから、あの方の爲《な》さいました事には、一つとして私どもの意表に出てゐないものはございません。早い話が堀川のお邸の御規模を拜見致しまして
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