」に丸傍点]君《くん》に不快《ふかい》を与《あた》えたのに違《ちが》いなかった。滝田[#「滝田」に丸傍点]君《くん》は僕《ぼく》と一しょにいた佐佐木茂索[#「佐佐木茂索」に丸傍点]君《くん》を顧《かえり》みながら、「芥川[#「芥川」に丸傍点]さんよりも痩せていますか?」といった。
◇
滝田[#「滝田」に丸傍点]君《くん》の訃《ふ》に接《せっ》したのは、十月二十七日の夕刻《ゆうこく》である。僕《ぼく》は室生犀生[#「室生犀生」に丸傍点]君《くん》と一しょに滝田[#「滝田」に丸傍点]君《くん》の家へ悔みに行った。滝田[#「滝田」に丸傍点]君《くん》は庭《にわ》に面《めん》した座敷《ざしき》に北を枕《まくら》に横《よこ》たわっていた。死顔《しにかお》は前に会《あ》った時より昔の滝田[#「滝田」に丸傍点]君《くん》に近いものだった。僕《ぼく》はそのことを奥《おく》さんに話《はな》した。「これは水気が来ておりますから、……綿《わた》を含《ふく》ませたせいもあるのでございましょう。」――奥《おく》さんは僕《ぼく》にこういった。
滝田[#「滝田」に丸傍点]君《くん》についてはこの
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