耳目記
芥川龍之介
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)大抵《たいてい》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)或|果物問屋《くだものとんや》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#地から1字上げ](昭和二年四月)
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僕等の性格は不思議にも大抵《たいてい》頸《くび》すぢの線に現はれてゐる。この線の鈍《にぶ》いものは敏感ではない。
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それから又僕等の性格は声にも現れてゐる。声の堅いものは必ず強い。
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筍《たけのこ》、海苔《のり》、蕎麦《そば》、――かう云うものを猫の食ふことは僕には驚嘆する外《ほか》はなかつた。
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或狂信者のポルトレエ――彼は皮膚に光沢《くわうたく》を持つてゐる。それから熱心に話す時はいつも片眼をつぶり、銃でも狙《ねら》ふやうにしないことはない。
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僕は話に熱中する度に左の眉《まゆ》だけ挙げる人と話した。ああいふ眉は多いものかしら。
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僕は教育なり趣味なりの大抵《たいてい》同程度と思ふ人々に何枚かの女の写真を見せ
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