唇頭《しんとう》にかすかな笑《ゑみ》を浮べて、恭々《うやうや》しく、臨終の芭蕉に礼拝した。――
 かうして、古今に倫《りん》を絶した俳諧の大宗匠、芭蕉庵松尾|桃青《たうせい》は、「悲歎かぎりなき」門弟たちに囲まれた儘、溘然《かふぜん》として属※[#「糸+廣」、第3水準1−90−23]《しよくくわう》に就いたのである。
[#地から2字上げ](大正七年九月)



底本:「現代日本文学大系43芥川龍之介集」筑摩書房
   1968(昭和43)年8月25日初版第1刷発行
入力:j.utiyama
校正:かとうかおり
1998年6月1日公開
2004年2月26日修正
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