開化の殺人
芥川龍之介
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)下《しも》に
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)最近|予《よ》が
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)梳※[#「木+龍」、第4水準2−15−78]《そろう》して
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下《しも》に掲げるのは、最近|予《よ》が本多子爵《ほんだししやく》(仮名)から借覧する事を得た、故ドクトル・北畠義一郎《きたばたけぎいちらう》(仮名)の遺書である。北畠ドクトルは、よし実名を明《あきらか》にした所で、もう今は知つてゐる人もあるまい。予自身も、本多子爵に親炙《しんしや》して、明治初期の逸事瑣談《いつじさだん》を聞かせて貰ふやうになつてから、初めてこのドクトルの名を耳にする機会を得た。彼の人物性行は、下の遺書によつても幾分の説明を得るに相違ないが、猶《なほ》二三、予が仄聞《そくぶん》した事実をつけ加へて置けば、ドクトルは当時内科の専門医として有名だつたと共に、演劇改良に関しても或急進的意見を持つてゐ
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