らないと、折角《せつかく》の議論は混乱するより外《ほか》にありますまい。
所で私《わたし》は前にも云つたやうに、今さう云ふ問題を辯《べん》じてゐる暇《ひま》がない。
が、強《し》ひて何か云はなければならないとなると、職業として私は英語を教へてゐるから、そこに起る二重生活が不愉快で、しかもその不愉快を超越《てうゑつ》するのは全然物質的の問題だが、生憎《あいにく》それが現代の日本では当分解決されさうもない以上、永久に我々はこの不愉快な生存を続けて行《ゆ》く外はないと云ふ位な、甚《はなはだ》平凡な事になつてしまひます。
これでよかつたら、どうか諸家の解答の中へ加へて下さい。以上。
[#地から1字上げ](大正七年十月)
底本:「筑摩全集類聚 芥川龍之介全集第四巻」筑摩書房
1971(昭和46)年6月5日初版第1刷発行
1979(昭和54)年4月10日初版第11刷発行
入力:土屋隆
校正:松永正敏
2007年6月26日作成
青空文庫作成ファイル:
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