童を求むること痛切なればなり。
会長ペック氏はこの時にあたり、我ら十七名の会員にこは心霊学協会の臨時調査会にして合評会《がっぴょうかい》にあらざるを注意したり。
問 心霊諸君の生活は如何?
答 諸君の生活と異なることなし。
問 しからば君は君自身の自殺せしを後悔するや?
答 必ずしも後悔せず。予は心霊的生活に倦《う》まば、さらにピストルを取りて自活[#「自活」に傍点]すべし。
問 自活[#「自活」に傍点]するは容易なりや否や?
トック君の心霊はこの問に答うるにさらに問をもってしたり。こはトック君を知れるものにはすこぶる自然なる応酬《おうしゅう》なるべし。
答 自殺するは容易なりや否や?
問 諸君の生命は永遠なりや?
答 我らの生命に関しては諸説|紛々《ふんぷん》として信ずべからず。幸いに我らの間にも基督教《キリストきょう》、仏教、モハメット教、拝火教《はいかきょう》等の諸宗あることを忘るるなかれ。
問 君自身の信ずるところは?
答 予は常に懐疑主義者なり。
問 しかれども君は少なくとも心霊の存在を疑わざるべし?
答 諸君のごとく確信するあたわず。
問 君の
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