がひ、爰《ここ》を内ぢやと思ひやるか、夜《よ》の更《ふ》けぬ先に往《い》にや/\と云ふに、面白うもない歌留多《かるた》をうつてゐて夜《よ》を更《ふ》かし、今からは往《い》なれまい、旦那殿《だんなどの》も大津祭《おほつまつり》に行《ゆ》かれて留守《るす》ぢやほどに、泊つてなりと行きやと、兄弟の忝《かたじ》けなさは何《なん》の遠慮もなく一所に寝るを、姉《あね》をとらまへ軽忽《きやうこつ》な、こりや畜生の行儀《ぎやうぎ》か。こちや畜生になる事は厭《いや》ぢやいの。(中略)多聞《たぶん》悪いと畳を叩いて腹を立てる。扨《さて》は南無《なむ》さん姉ぢやさうな。是は粗相千万《そさうせんばん》、(中略)と後先《あとさき》揃はぬ事を云ふて、又|本《もと》の夜着《よぎ》へこそこそはいつて、寝るより早く其処《そこ》を立ち退《の》き、(下略《げりやく》)」(この項未完)
[#地から1字上げ](大正十三年六月)
底本:「筑摩全集類聚 芥川龍之介全集第四巻」筑摩書房
1971(昭和46)年6月5日初版第1刷発行
1979(昭和54)年4月10日初版第11刷発行
入力:土屋隆
校正:松永正敏
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