さまよえる猶太人
芥川龍之介

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)基督《キリスト》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)散々|打擲《ちょうちゃく》

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(例)[#地から1字上げ](大正六年五月十日)
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 基督《キリスト》教国にはどこにでも、「さまよえる猶太人《ゆだやじん》」の伝説が残っている。伊太利《イタリイ》でも、仏蘭西《フランス》でも、英吉利《イギリス》でも、独逸《ドイツ》でも、墺太利《オウスタリ》でも、西班牙《スペイン》でも、この口碑が伝わっていない国は、ほとんど一つもない。従って、古来これを題材にした、芸術上の作品も、沢山ある。グスタヴ・ドオレの画は勿論、ユウジァン・スウもドクタア・クロリイも、これを小説にした。モンク・ルイズのあの名高い小説の中にも、ルシファや「血をしたたらす尼」と共に「さまよえる猶太人」が出て来たように記憶する。最近では、フィオナ・マクレオドと称したウイリアム・シャアプが、これを材料にして、何とか云う短篇を書いた。
 では「さまよえる猶太人《ゆだやじん》」と
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