の汽車は今では何処へ行つても見られないやうな旧式な機関車なので、未だにそれが先へ先へと進んでゐることを思ふと、どう判断していゝのかわからなくなるのです。それに、レールの幅が昔の三倍にもなつてしまつてゐるのですから、もし最初の人達がひきかえへして来ることになつて又幾百年かかるのはいゝとしても、何処かでレールの幅が合はなくなつてゐるにきまつてゐることが心配です。
 そこには海もありしたがつて港もあるのですが、海は陸よりもゝつとたよりない成績しかあがりませんでした。どうしてこんな国が出来てしまつたかは大昔にさかのぼらなければなりません。大昔といつてもただの大昔ではなく一番の大昔なのです。千年以上も前なのか二万年も以前のことなのかわからないのです。その大昔に、何処か或る所に一人の王様がゐて、だんだんに年寄になつて、三人か四人の王子達もすつかり大人になつてゐたのです。そこで、一日王様は王子達を集めてそのうちから誰かを一人の世嗣に定めることになりました。背の高さをはかつてみたり、足の大きさを較ら[#「ら」に「ママ」の注記]べてみたりしてみましたが、それでは誰にきめてよいのか王様にはわかりませんでし
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