をガクンガクンさせて、管を巻くようにいきり立った。
「儲かる儲からんは別問題やで! 何をぬかっしやがる阿呆め、金を儲けたいさかい、苦しいならこその話しやないか、これこそ窮余の一策ちゅうのや! それに、まだまだ暴落なんか来るもんかい。誰かてまだ二三年は受合や言うてるし、おれ[#「おれ」に傍点]、今日仏さんの前でけんとく[#「けんとく」に傍点](予想)みたんや、『吉兆』と心の底で声がしたわい」
「そら分かってる。苦しいから鳥でもと思うのはよく分かってるが、そうやないのだ祖父さん、おれ[#「おれ」に傍点]の言うのは、一羽二羽楽しみに飼うのと違うて、大切な資本をかけて小鳥屋みたいに鳥飼うて、そら今日も鳥の市や、明日は西応寺で交換会や、ほら『脊残り』は一っペンに二十円も値が上った、ほら何、ほら何やと、百姓がまるで相場師みたいになるのが間違うてると言うのだ、この旱りと繭の不作で苦しいのは、今切り抜け様と、皆が結束して争議を起してる最中やないか……」
「ヘン、偉そうなほげた[#「ほげた」に傍点]吐かさんとけ! 小作争議みたいな、第一お前等が先頭やないか、負けるに決まってる。小鳥で儲かるのは、ちゃんと
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