ゝろ》をば誰れと与《とも》にか語り候ふべき。げに彼《か》の夜は物静かなる夜にて候ひき。一燈の下、小生は筆を取りて何事をか物し候ひし折のことなり、如何なる心の機《はずみ》にか候ひけむ、唯だ忽然はつと思ふやがて今までの我が我ならぬ我と相成《あひなり》、筆の動くそのまゝ、墨の紙上に声するそのまゝ、すべて一々超絶的不思議となつて眼前に耀き申候[#「はつ」を除いて「忽然はつと思ふやがて今までの我が我ならぬ我と相成、筆の動くそのまゝ、墨の紙上に声するそのまゝ、すべて一々超絶的不思議となつて眼前に耀き申候」に白丸付く、「はつ」には傍点]。この間|僅《わづ》かに何分時といふ程に過ぎずと覚ゆれど、而《し》かもこの短時間に於ける、謂《い》はば無限の深き寂しさの底ひより、堂々と現前せる大いなる霊的活物とはたと行き会ひたるやうの一種の Shocking 錯愕、驚喜の意識は、到底筆舌の尽くし得る所にあらず候[#「はた」と「 Shocking 」を除いて、「堂々と現前せる大いなる霊的活物とはたと行き会ひたるやうの一種の Shocking 錯愕、驚喜の意識は、到底筆舌の尽くし得る所にあらず候」に白丸付く、「はた」に
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