見たり[#「見たり」に傍点]といひ会へり[#「会へり」に傍点]といふの言葉は、なほ皮相的、外面的にして迚《とて》もこの刹那の意識を描尽するに足らず、其は神我の融会也、合一也、其の刹那に於いて予みづからは幾《ほと》んど神の実在に融け合ひたるなり。我即《われすなはち》神となりたる也。感謝す、予はこの驚絶、駭絶の意識をば、直接に、端的に、神より得たり、一毫《いちがう》一糸だに前人の証権を媒《なかだち》とし、若《も》しくは其の意識に依傍したる所あらざる也。(彼等が間接なる感化は言はず。)
顧みるに、予が従前の宗教的信仰といふもの、自得自証より来たれるは少なく、基督《キリスト》其の他の先覚の人格を信じ、若しくは彼等が偉大なる意識を証権として、其れに依り傍《そ》うて[#「依り傍うて」に傍点]幻《おぼろ》げに形づくりたる者、その多きに居りし也。半《なか》ばは他の声に和し、他の意識を襲うて、神をも見たりと感じ、神の愛をも知りぬと許したりし也。即ち間接に他より動かさるゝ所、其の多きに居りし也。後深く内部生活に沈潜するに及びては、一切前人の証権を抛《なげう》ち去つて、自ら独立にわが至情の要求に神の声を聴
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