却て欺瞞の陳列場の如き觀を呈し、一方には奢侈逸樂を助長し、一方には怨嗟失望を誘致し、人心を惡化せしむることあるも、終に如何ともすること能はざるに至るのではないかと考へられる。此傾向は慥にあるものと認めざるを得ない。色目鏡を外づせば歴然として目前に現れる、隱匿辯護の餘地はないのである。是は實に法世の缺陷であり病氣であるのである。これあるがために罪惡を犯すもの盡きざるも亦明白なる事實である。而て其缺陷其罪惡の根本的救治は之を律法に求むるも得べからず、之を教法に求むるも亦得べからざることは、既往と現在とに徴して是亦餘りに明白なる事實である。かかる明白なる事實は事實なるが故に之を如何ともすべからざるものと見ることも出來る。是は頗る透徹したる見方である。しかし法世の見方はここまでは徹底し得ない。どうしても相も變らぬ教法を以て糊塗することに勉むるの外ないのである。然らば即ちその根本的救治策は到底成立の見込立たざる性質のものであらうか。これは是れ眞に世を憂ふるものの夙夜忘るべからざる問題でなければならない。しかしかかる問題を單に提起するさへ容易のことではない。まして成案を作るに至つては彌※[#二の字
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