安藤昌益
狩野亨吉
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)失《アヤマ》る論と題し、
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)彌※[#二の字点、1−2−22]
−−
一 安藤昌益と其著書自然眞營道
今から二百年前、安藤昌益なる人があつて、萬物悉く相對的に成立する事實を根本の理由とし、苟くも絶對性を帶びたる獨尊不易の教法及び政法は皆之を否定し、依て此等の法に由る現在の世の中即ち法世[#「法世」に白丸傍点]を、自然の道に由る世の中即ち自然世[#「自然世」に白丸傍点]に向はしむるため、其中間道程として民族的農本組織を建設し、此組織を萬國に普及せしむることに由つて、全人類社會の改造を達成せしめようとしたのである。當時の學者が三教以外に何事をも考へ得なかつた間に在つて、かかる斬新なる思索を徹底せしめ、大膽なる抱負を實現しようとしたことは、啻に視聽を聳動する種類のことであるのみならず、實際重大なる問題を惹起する性質のものであるから、極めて謹愼なる態度を取り、
次へ
全53ページ中1ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
狩野 亨吉 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング