一]、持示[#二]村婆[#一]皆解了、香山後世是蕉翁、
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と斯の如き芭蕉も透谷氏の為めには天涯高く飛び去りて、肉眼にては分り兼ねる理想の中《うち》に住する人となれり。平民的短歌の作者も一種の理想派《アイデアリスト》となりて、さぞ満足なることならんと雖《いへど》も、実を忘れ、肉を忘れ、天外高く飛び去り、寤寐判せず迷覚了せざる的の漢となりて一生を漫遊せんことは彼と雖も難[#レ]有涙をこぼすなるべし。吾人は嘗て巌本君が青年一揆の張本人と題し事業を鼓舞する者を難じたる文を読みたり。知らず長松の下に箕踞《ききよ》して白眼世人を見る底の人物を養成する張本人は誰ぞや、吾人|豈《あに》独り女学雑誌社中を攻めんや、彼れが代表する一派の傾向に針※[#「石+乏」、第3水準1−88−93]《しんぺん》する所あらんと欲するのみ。
[#地から2字上げ](明治二十六年四月十九日)
底本:「現代日本文學体系 6 北村透谷・山路愛山集」筑摩書房
1969(昭和44)年6月5日初版第1刷発行
1985(昭和60)年11月10日初版第15刷発行
初出:「国民新聞」
1893(明治26)年4月19日
入力:kamille
校正:鈴木厚司
2006年7月3日作成
青空文庫作成ファイル:
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