信仰個条なかるべからず
山路愛山
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)旌旗《せいき》なり
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)横井時雄氏|曾《かつ》て
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)屡々《しば/\》
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旗色分明ならずんば三軍何を以て向ふ所を知らんや。信条は異論に対し、他派に対し、同一普通の信仰を有する一隊が敵と味方と朋友とを区別せんが為めの旌旗《せいき》なり。是れ微《なか》つせば以て精神界に出でゝ統制一致の運動を為《な》す能はず。
故に信条は歴史の産物なり。信条の生ずるは勢の必至なるものなり。
人或は曰ふ信条の如き狭隘《けふあい》、独断の物を掲げて以て世に示すことは思想の自由を尊ぶ者をして其中に入るを嫌はしむるの媒たりと。異なる哉《かな》言や。吾人《われら》は思想の自由を尊ぶが故に信条を掲げて以て去就を明かにせんとする也。天下の心は猶天下の面の如し。人々異なれり、誰れか狭隘の譏《そしり》を免れん、誰れか独断の譏を免れん。総《すべ》ての人を感服せしむることは基督《キリスト》と雖《いへど》も
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