りにうつくしかったので、かわいそうになってしまって、
「じゃあ、はやくおにげなさい。かわいそうなお子さまだ。」といいました。
「きっと、けものが、すぐでてきて、くいころしてしまうだろう。」と、心のうちで思いましたが、お姫さまをころさないですんだので、胸の上からおもい石でもとれたように、らくな気もちになりました。ちょうどそのとき、イノシシの子が、むこうからとびだしてきましたので、かりうどはそれをころして、その血《ち》をハンケチにつけて、お姫さまをころしたしょうこに、女王さまのところに持っていきました。女王さまは、それをごらんになって、すっかり安心して、白雪姫は死んだものと思っていました。
 さて、かわいそうなお姫さまは、大きな森の中で、たったひとりぼっちになってしまって、こわくってたまらず、いろいろな木の葉っぱを見ても、どうしてよいのか、わからないくらいでした。お姫さまは、とにかくかけだして、とがった石の上をとびこえたり、イバラの中をつきぬけたりして、森のおくの方へとすすんでいきました。ところが、けだものはそばをかけすぎますけれども、すこしもお姫さまをきずつけようとはしませんでした。白雪
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