きあがってきました。そして元気づいて、
「おやまあ、わたしは、どこにいるんでしょう。」といいました。それをきいた王子のよろこびはたとえようもありませんでした。
「わたしのそばにいるんですよ。」といって、いままであったことをお話しになって、そのあとから、
「わたしは、あなたが世界じゅうのなにものよりもかわいいのです。さあ、わたしのおとうさんのお城《しろ》へいっしょにいきましょう。そしてあなたは、わたしのお嫁《よめ》さんになってください。」といわれました。
そこで、白雪姫もしょうちして、王子といっしょにお城にいきました。そして、ふたりのごこんれいは、できるだけりっぱに、さかんにいわわれることになりました。
けれども、このおいわいの式《しき》には、白雪姫のまま母である女王さまもまねかれることになりました。女王さまは、わかい花嫁《はなよめ》が白雪姫だとは知りませんでした。女王さまはうつくしい着物《きもの》をきてしまったときに、鏡《かがみ》の前にいって、たずねました。
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「鏡や、鏡、壁《かべ》にかかっている鏡よ。
国じゅうで、だれがいちばんうつくしいか、いっておくれ。
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