る方の半分を受けとってしまいました。けれども、一かじり口にいれるかいれないうちに、バッタリとたおれ、そのまま息がたえてしまいました。すると、女王さまは、そのようすをおそろしい目つきでながめて、さもうれしそうに、大きな声で笑いながら、
「雪のように白く、血《ち》のように赤く、こくたん[#「こくたん」に傍点]のように黒いやつ、こんどこそは、小人《こびと》たちだって、助けることはできまい。」といいました。そして、大いそぎで家にかえりますと、まず鏡《かがみ》のところにかけつけてたずねました。
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「鏡や、鏡、壁《かべ》にかかっている鏡よ。
 国じゅうで、だれがいちばんうつくしいか、いっておくれ。」
[#ここで字下げ終わり]
 すると、とうとう鏡が答えました。
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「女王さま、お国でいちばん、あなたがうつくしい。」
[#ここで字下げ終わり]
 これで、女王さまの、ねたみぶかい心も、やっとしずめることができて、ほんとうにおちついた気もちになりました。
 ゆうがたになって、小人たちは、家にかえってきましたが、さあたいへん、こんども、また白雪姫が、地べたにころが
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