田原坂合戦
菊池寛

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)国幹《くにもと》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)当時|赫々《かくかく》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#ここから2字下げ]

 [#…]:返り点
 (例)百戦無[#レ]効
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 西郷降盛が兵を率いて鹿児島を発したときの軍容は次の通りである。
[#ここから2字下げ]
第一大隊長  篠原 国幹《くにもと》
第二大隊長  村田 新八
第三大隊長  永山弥市郎
第四大隊長  桐野 利秋
第五大隊長  池上 四郎
第六大隊長  別府 晋介
[#ここで字下げ終わり]
 大隊長は凡《すべ》て、名にし負う猛将ぞろいである。殊に桐野利秋は中村半次郎と称して維新当時にも活躍した男である。各大隊は兵数ほぼ二千名位ずつであるから総軍一万二千である。各大隊には砲兵が加って居たが、その有する処は、四斤砲二十八門、十二斤砲二門、臼砲三十門であった。その外《ほか》後に薩、隅、日の三国で新に徴集したもの、及、熊本、延岡、佐土原、竹田等の士族で来り投じたものが合せて一万人あった。
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