が五稜郭で戦死してゐたら、終《をはり》を全うした事になるのは勿論である。
真田幸村や後藤基次や木村重成など、前時代に殉じた人々が、徳川時代の民間英雄であつたやうに、近藤勇が現代の民間英雄であることは、愉快な事である。大衆と云ふものは、御用歴史の歪みを、自然に正すものかも知れない。
しかし、近藤勇の人気は、映画と大衆文芸の影響で、この両者がなかつたら、今ほど有名ではないだらう。地下の近藤勇も、この点は苦笑してゐるだらう。
底本:「菊池寛全集 第十九巻」高松市菊池寛記念館、文藝春秋
1995(平成7)年6月15日発行
底本の親本:「大衆維新史読本」モダン日本社
1939(昭和14)年10月16日
初出:「オール讀物」文藝春秋
1937(昭和12)年8月号
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5−86)を、大振りにつくっています。
入力:大久保ゆう
校正:小林繁雄
2006年7月3日作成
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