何だか定《きま》りが付かなくつて困りますのよ。表面《うはべ》丈《だけ》でもいゝからいゝとか何とか合槌を打つて下さる方が欲しいのよ。」
「それなら、美奈子と一緒に行らつしやい。」
勝平は、怒つた牡牛のやうにプリ/\しながら、それでも正面から瑠璃子をたしなめ[#「たしなめ」に傍点]ることが出来なかつた。
「美奈子さん。だつて、美奈子さんは、三時過ぎでなければ学校から、帰つて来ないのですもの。それから支度をしてゐては、遅くなつてしまひますわ。」
瑠璃子は、大きい駄々つ子のやうな表情を見せながら、その癖顔|丈《だけ》は、微笑を絶たなかつた。勝平は又黙つてしまつた。瑠璃子は追撃するやうに云つた。
「何うして勝彦さんに一緒に行つていたゞいては、いけませんの。」
勝平の顔色は、咄嗟に変つた。その顳※[#「需+頁」、第3水準1−94−6]《こめかみ》の筋肉が、ピク/\動いたかと思ふと、彼は顫へる手で箸を降しながら、それでも声|丈《だ》けは、平静な声を出さうと努めたらしかつたが、変に上ずツてしまつてゐた。
「勝彦! 勝彦勝彦と、貴女《あなた》はよく口にするが、貴女は勝彦を一体何だと思つてゐるのです
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