お祈り下さい。
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手紙は、尚続いた。
四
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妾《わたくし》は、勝利を確信してゐます。が、それは実質の勝利で、形から云へば、妾《わたくし》は金のために荘田に購はれる女奴隷と、等しいものかも知れません。妾《わたくし》が、自分の操を清浄に保ちながら、荘田を倒し得ても、社会的には妾《わたくし》は、荘田の妻です。何人《なんぴと》が妾《わたくし》の心も身体も処女であることを信じて呉れるでせう。妾《わたくし》は貴君《あなた》丈には、それを信じて戴きたいと思ひます。が、妾《わたくし》にはそれを強ひる権利はありません。
男性化《マンリファン》と言ふ言葉があります。妾《わたくし》の現在はそれです。妾《わたくし》は女性としての恋を捨て、優しさを捨て慎しやかさを捨てゝ、たゞ復讐と膺懲のために、狂奔する化物のやうな人間にならうとしてゐるのです。顧みると、自分ながら、浅ましく思はずにはゐられません。が、悪魔を倒すのには、悪魔のやうな心と謀計とが必要です。
貴君を愛し、また貴君から愛されてゐた無垢な少女は、残酷な運命の悪戯から、凡ての女性らしさを、自分から捨ててしまふのです。凡ての女性らしさを、復讐を神に捧げてしまふのです。愛も恋も、慎しやかさも淑《しとやか》さも、その黒髪も白き肌《はだへ》も。
次ぎのことを申上げるのは、一番厭でございますが、荘田からの最初の申込みを取り継がれた方は、貴君のお父様です。従つて、求婚に対する妾《わたくし》の承諾も、順序として、貴君《あなた》のお父様に、取次いでいたゞかねばなりません。妾《わたくし》は、貴君に対する、この不快な恐ろしい手紙を書いた後に、貴君のお父様宛に、もう一つの、もつと不快な恐ろしい手紙を書かねばなりません。
それを思ふと、妾《わたくし》の心が暗くなります。が、妾《わたくし》はあくまで強くなるのです。あゝ、悪魔よ! もつと妾《わたくし》の心を荒ませてお呉れ! 妾《わたくし》の心から、最後の優しさと恥しさを奪つておくれ!
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一句一句鋭い匕首《あひくち》の切先で、抉られるやうに、読み了つた直也は最後の一章に来ると、鉄槌で横ざまに殴り付けられたやうな、恐ろしい打撃を受けた。
最初は、縦令《たとひ》どんな理由があるにしろ、自分を捨てゝ、荘田に嫁がう
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