小説家たらんとする青年に与う
菊池寛

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)拵《こしら》えたい。

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)十八|乃至《ないし》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)満を持して放たない[#「満を持して放たない」に傍点]
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 僕は先ず、「二十五歳未満の者、小説を書くべからず」という規則を拵《こしら》えたい。全く、十七、十八|乃至《ないし》二十歳で、小説を書いたって、しようがないと思う。
 とにかく、小説を書くには、文章だとか、技巧だとか、そんなものよりも、ある程度に、生活を知るということと、ある程度に、人生に対する考え、いわゆる人生観というべきものを、きちんと持つということが必要である。
 とにかく、どんなものでも、自分自身、独特の哲学といったものを持つことが必要だと思う。それが出来るまでは、小説を書いたって、ただの遊戯に過ぎないと思う。だから、二十歳前後の青年が、小説を持って来て、「見てくれ」というものがあっても、実際、挨拶のしようがないのだ。で、とにかく、人生というものに対しての自分自
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