た。娘はまだ食べるのに夢中でしたが、かじりかけてふとセエラの方を見て、ちょっと頭を下げました。娘はそうしてセエラが見えなくなるまで、かじりかけのパンをかみきりもせず、じっとセエラを見守っていました。
ちょうどその時、パン屋のおかみさんが窓から外を覗きました。
「おや、こんな事ってないわ。あの娘はくれともいわないのに、この乞食にパンをやってしまったんだね。しかも、自分は食べたくないどころか、あんなにひもじそうな顔をしていたのに。」
おかみさんは窓の奥でちょっと考えていましたが、何でも、様子を訊いてみたくなったので、乞食娘のいる方へ出て行きました。
「そのパンは、誰にもらったの?」
娘はセエラの行った方に頭を向けて、こっくりしました。
「あの子は、何といったの?」
「ひもじいかって。」
「で、何と答えたの?」
「その通りだといったの。」
「すると、あの子はパンを買って、お前にくれたのだね。」
娘はまたこっくりをしました。
「で、いくつくれたの?」
「五つ。」
おかみさんは考えこんで、小声にいいました。
「自分のためには一つしか残しておかなかったのだよ。食べようと思えば、一人で六つ
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