接吻《キス》していました。

      二 フランス語の課業

 次の朝、セエラが教室へ入って行きますと、生徒は皆眼を見張って、物珍しそうに彼女を見つめました。生徒達はもうセエラのことをいろいろ聞いて知っていました。前の晩到着したセエラ附《つき》の女中、フランス人のマリエットをちらと見たものさえありました。すっかり大人顔をしているラヴィニア・ハアバアトなどは、開きかけた扉《ドア》の間から、マリエットがどこかの店から着いた箱を開けているのを見たくらいでした。
「レエスの縁飾《フリル》[#ルビの「フリル」は底本では「フルリ」]のついた下袴《ペティコート》で一杯だってよ。」ラヴィニアは身をこごめて地理の本の上から、ジェッシイに囁《ささや》きました。「あの方、今もあの下袴《ペティコート》を着けてるのよ。腰をかける時ちょっと見えたわ。」
「まあ、あの方の靴下絹ね。」ジェッシイも地理書越しに小声でいいました。「それに、可愛い足ね。」
「でも、足なんて靴次第で小さく見えるものよ。それにあの方、ちっとも綺麗じゃアないのね。眼だって変な色だわ。」
「綺麗さがちょっと違うのよ。なんだか振り返って見たくな
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