、「日本劒客伝」一巻などは面白いものをかくつもりである。
翻訳類も、自分は自ら筆を取つて、小学生に分るやう自由な明快な訳をしたいと思つてゐる。それらの点では、自分を信じてほしい。
科学的方面の筆者は、いづれも当代一流の大家で、早大工科学長の山本忠興博士、上原林学博士を初め、かうしたものを書かうと云ふ素志を持つて居られたと云ふから刮目して見るべきであらう。「子供天文学」「子供鉱物学」その他子供を冠してゐる意味は、子供にも分りやすくかいたと云ふ意味だから、大人の方でも、常識として一度はかうしたものを読んで置くのもよいことだと思ふ。
それから、わづか三十五銭で菊版三百|頁《ページ》の本が出来るかと云へば、かうだ。紙代が十二三銭、これは取次店などの手を経ず、直接製紙会社に大量的に註文するので、極度に安くなるのである。印刷代が五六銭、製本代が四五銭、広告一二銭、編輯費二三銭で二十五六七銭である。すると、八九銭儲かるやうであるが、各小売店に三十五銭の二割以上手数料として割戻しすることになつてゐるので、これで丁度いつぱい/\である。広告費は五十万円以上投ずる予定だが、これは予約者が多ければ、一
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