山崎合戦
菊池寛

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)勿体《もったい》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)信長|麾下《きか》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「くさかんむり/皎のつくり」、第3水準1−90−79]

 [#…]:返り点
 (例)順逆無[#二]二門[#一]

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)そも/\
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 明智光秀は、信長の将校中、第一のインテリだった。学問もあり、武道も心得ている。戦術も上手だし、築城術にも通じている。そして、武将としての品位と体面とを保つ事を心がけている。
 それだけに、勿体《もったい》ぶったもっともらしい顔をして居り、偽善家らしくも見えたのであろう。リアリストで、率直を愛する信長は光秀がすまし過ぎているので、「おい! すますない!」と云って時々は肩の一つもつつきたくなるような男であったのであろう。
 神経質で陰気で、条理も心得て居り、信長のやり方を腹
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