仇討禁止令
菊池寛
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)讃岐《さぬき》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)後年|伯夷叔斉《はくいしゅくせい》の
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)かけや[#「かけや」に傍点]
[#…]:返り点
(例)至情不[#レ]得[#レ]止ニ出ルト雖モ
−−
一
鳥羽伏見の戦で、讃岐《さぬき》高松藩は、もろくも朝敵の汚名を取ってしまった。
祖先が、水戸黄門光圀の兄の頼重《よりしげ》で、光圀が後年|伯夷叔斉《はくいしゅくせい》の伝を読み、兄を越えて家を継いだことを後悔し、頼重の子|綱条《つなえだ》を養って子とし、自分の子鶴松を高松に送って、嗣子たらしめた。
だから、高松藩は、徳川宗家にとっては御三家に次ぐ親しい間柄である。従って、維新の時、一藩|挙《こぞ》って宗家大事という佐幕派であった。
鳥羽伏見で敗れると、小河、小夫《おぶ》の両家老は、敗兵を率いて、大坂から高松へ逃げ帰った。
一藩は、朝敵という名に脅えている時だった。四国で、勤王の魁首《かいしゅ》である
次へ
全37ページ中1ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
菊池 寛 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング