こで字下げ終わり]
[#ここから4字下げ]
(このとき、「一揆じゃ! 一揆じゃ! 一揆が来たぞ!」という、叫びが遠く近く聞えてくる)
[#ここで字下げ終わり]
[#ここから改行天付き、折り返して1字下げ]
おきん ああとうとう、来たんじゃのう。恐ろしいことになったのう。
甚三 御城下を、夜討ちにするじゃのう。
おきん まさか、こちとらに、仇はしやすまいのう。
甚吉 何、そなな心配があるもんか。一揆はこちとらの味方じゃないか。
おきん われら、みんな隠れとれ! 加担人させられたら、後が難儀じゃけに。
甚吉 まだ、ええ。まだ、ええ。こっちへ来るのには間がある。
[#ここで字下げ終わり]
[#ここから4字下げ]
(このとき、村人の一人、あわただしく駆けてくる)
[#ここで字下げ終わり]
[#ここから改行天付き、折り返して1字下げ]
甚吉 おおわれや、藤作じゃねえか。
藤作 おお。この村も、加担じゃぞ。ええか。一軒で一人ずつ、人数を出すんじゃぞ。ええか。炬火《たいまつ》と竹槍とを用意しとげ。ええか。後から、一揆の統領が回って来るけにな。
甚吉 (蒼白になりながら)合点じゃ。
藤作 加担の村が、
前へ 次へ
全52ページ中17ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
菊池 寛 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング