子の中へしまって、また仕事をつづけました。そしてすっかり鋤きおえると、家《うち》へ帰りました。彼は馬をときはなして家《うち》へ入りました。するとそこには、兄の兵隊のシモンとそのお嫁さんが、夕飯《ゆうめし》を食っていました。シモンはその領地をすっかり取り上げられてしまい、命からがら牢屋をぬけ出して父親の家《うち》で暮すつもりで帰って来たのでした。
シモンはイワンを見ると、こう言いました。
「おれはお前と一しょに暮すつもりでやって来たんだが、おれの主人が見つかるまでおれと家内をやしなってくれ。」
「いいとも、いいとも。」
とイワンは言いました。
「どうぞいなさるがいい。」
ところがイワンが長椅子へ腰を下そうとすると、シモンのお嫁さんがその着物の臭いのを嫌って、シモンに、
「私はこんな汚い百姓と一しょに御飯をたべるのはいやです。」
と言いました。
そこでシモンは、
「お前の着物が大へん臭いので家内がいやだというのだよ。お前外へ行って飯を食ったらいいだろう。」
と言いました。
「いいとも、いいとも。」
とイワンは言いました。
「どうせ私は馬の飼葉《かいば》の世話をせにゃならんから、外へ行
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