ねいにしてもらいました。
やがて、象げ船が入って来る時分になって、私は、この島にさようならをしました。そして、象げと、ほかの宝物を船にいっぱいつんで、ふるさとをさして帰って来ました。
バクダッドにつくと、私はすぐその足で、カリフさまの御殿へまいりました。
カリフさまは、私を見て、大へんおよろこびになりました。そして、
「シンドバッドや、わしは、ずいぶん心配していたよ。何かまた、へんなことが起ったのではないかと思ってね。」と、おっしゃいました。
それで私は、海賊《かいぞく》の話と、象の話とを、お聞かせしました。
カリフさまは、びっくりなさいました。そして、私の七へんめの航海の話を、すっかり、金の字で書きしるして、カリフさまのお宝物として、だいじにしまっておくようにと、家来にお言いつけになりました。
それから私は、家へ帰って来ました。そして、それからは、ずっと、のどかに、家にくらしています。
これで、シンドバッドの航海の話は終りました。それから、ヒンドバッドの方へ向いて、
「さて、ヒンドバッドさん。これで、どうして私が、こんな金持になったかが、おわかりになったでしょう。もう
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