みました。すると、急に元気が出てきて、何だかうれしくなりました。そして、思わず歌をうたったり、おどったりしました。
肩にいたおじいさんは、びっくりしてしまいました。そして、手まねで、自分にも飲ませてくれ、と言いました。私は仕方がないので、ひょうたんを渡しました。
そのひょうたんは、大へん大きなものでした。それで、お酒もずいぶん入っていたわけです。おじいさんは、それを一しずくも残さないまで、飲んでしまいました。それから、へんな声で、何かしゃべりはじめました。そして、しだいに、足をゆるめてゆきました。
私は、この時とばかり、うんと力をこめて、おじいさんを、地面の上へほうり出しました。おじいさんは、投げ出されたまんま、起き上ろうともしませんでした。
私は、やっと重荷《おもに》をおろして、せいせいしました。そして、にこにこしながら、海べの方へ歩いて行きました。
ちょうど海べには、五六人の水夫が、たるを持って、水をくみに上って来たところでした。私を見て目をまるくしながら、
「お前さん、こんな島へ、何をしに来たんだね。」こうたずねました。
私は、船がこわれてからの、いちぶしじゅうを話しました。すると、その人たちは、ますますおどろいてしまいました。そして、
「そんなあぶない目にあっても、助かったなんて、まあ、なんてお前さんは、運のいい人なんだろう。だが、その肩にのっかってたというおじいさんはね、海じじいと言って、そいつにつかまったが最後、助かりっこはないんだよ。」
と、言いました。それから、私を船へつれて行きました。
そのうち、船は大きな港につきました。その港の町の家は、みんな石で作ってありました。
そこで、今まで大へんしんせつにしてくれた一人の商人が、私に、みんなと一しょに、やしの実を取りに行かないか、とすすめました。そして、
「これをお持ちなさい。」と言って、大きな袋《ふくろ》を渡しました。それから、
「けっして、みんなにはぐれて、かってなところへ行っちゃいけませんよ。みんながするようにするんですよ。」と、言いました。
さて、それから私たちは、ずいぶん遠い、やしの木の森へ行きました。
やしの木は、大そう背が高くて、まっすぐで、おまけに幹《みき》がすべすべしていました。私は、これでは、とてものぼれないだろうと思いました。そして、いったいどうして、実をとるのだ
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