な」に傍点]にやるために、くわえて帰って来るのです。商人たちは、そこを待ちかまえていて、わしを巣《す》から追い出して、肉の中のダイヤモンドをとるという話であります。
やがて、わしがまいさがって来て、肉のきれをくわえて、とび上ってゆきました。それを見ているうちに、ふとある考えが浮かびました。それで、とてもだめだと思ってしょげていた私は、元気を出しました。
そこで、まずあたりをさがしまわって、なるべく大きそうなダイヤモンドを拾って、ポケットにつめこみました。それからまた、肉の一ばん大きなきれを見つけて、それを、あのずきんで作ったつなで、からだへしっかりと、むすびつけました。わしがまたすぐに、えものを取りにおりて来るだろうと思ったからです。それから、肉のきれの下にもぐって、地面の上へねそべりました。そして、どうなることかと、じっと待っていました。
するとまもなく、わしが、すうーっとおりて来ました。そして、私のからだにむすばれてあった肉をつかんで、さっととび上りました。そして、高い高い山の上の、岩の間の巣の中へ、私を落しこみました。
すると、思った通り、すぐに岩の後《うしろ》から人が出て来て、大きな声でわしを追いたてました。わしは、びっくりして、そのままとび去ってしまいました。
この人は、この巣の番をしている商人で、肉の中のダイヤモンドをさがしに来たのでありましたが、私を見て、びっくりして、後へとびのきました。けれども、すぐに、
「お前さんはここで何をしているんだ。ああわかった。ダイヤモンドをぬすみに来たんだな。」
と、おこりつけました。
しかし、私は、落ちついて、
「まあ、お待ちください。私はけっして、どろぼうではありません。私の話をお聞きになったら、きっと私を、気の毒に思ってくださるでしょう。そして、きっとおとがめにはならないでしょう。それから、お望《のぞ》みのダイヤモンドなら、ここに少し持って来ましたから。」と、言いました。
そこへ、ほかの番をしている商人たちもやって来ました。私はみんなに、今までの、あぶない目にあった話をして聞かせました。商人たちは、私の勇気と、そんなあぶない目からうまくのがれたちえとに、びっくりして、ただただ目を見はっているばかりでした。
それから私は、手にいっぱいダイヤモンドをつかみ出しました。そして、みんなに見せました。みんなは
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