。そして、
「坊《ぼっ》ちゃん、何かご用でございますか。私は、その指輪の家来《けらい》でございます。ですから、その指輪をはめていらっしゃる方のおっしゃる通りに、しなければならないのでございます。」と、言うのです。アラジンはとび上るほどよろこびました。そして、
「私の言うことなら、どんなことでも聞いてくれるんだね。よし、じゃ、こんなおそろしいところからすぐつれ出しておくれ。」と、こうたのみました。
 そうすると、すぐに地面へ上る道が開きました。そして、あっというまに、もう自分の家の戸口まで帰っていました。お母さんがアラジンが帰ったので、涙を流してよろこびました。アラジンもお母さんにだきついて、何度も何度もキッスしました。それから、お母さんにこの間からのいちぶしじゅうを話そうとしましたが、お腹《なか》がぺこぺこでした。
「お母さん、何かたべさせてくださいな。私はお腹がぺこぺこで死にそうなんです。」と、アラジンが言いました。
 お母さんは、
「ああ、そうだろうとも、ねえ。だがこまったよ、もう家の中には、少しぽっちの綿《わた》よりほかには何にもないんだよ。ちょっとお待ち、この綿を売りに行って、
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