ただって、妾だって……(去る)
鉄風 みんな……聞いたかね。
未納 聞いたわ。
鉄風 昌允も聞いたかね。
昌允 そうの様です。
鉄風 じゃあ俺の聞いたことは、確かなんだな。
美※[#「にんべん+予」、第3水準1−14−11] 不思議だけど、確かだわ。
鉄風 俺は、今聞いたことを信じなきゃならん立場にいるのかな。一体こう言うことって、有り得ることなのかね。
未納 有り得ることだわ。こう言うことの可能性ってものは、無限大だわ。理窟もなにもありゃしないわ。
鉄風 黙ってろ! 俺が比較的冷静な人間であることは、この際|僥倖《ぎょうこう》とも言うべきことだ。これが普通の人間であってみろ。地団駄を踏み、わめきかえったかもしれないところだ。多分椅子の一つくらいは壊したかもしれんよ。だが俺は、大芝居は好まん。しかし言って置くが、今日の出来事は俺に取っては充分驚嘆に値するものだった。
昌允 (慰める気で)お父さん、元気を落しちゃいけませんよ。きっと冗談ですよ。例えば、須貝さんがそんなことを言ったとしたって、本気じゃありませんよ。また本気にしたところでそんな……。
鉄風 本気にしたところで……どうだと言う
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